別れても、バカな人(内藤みか)
離婚したって、
ダメなものはダメ。



「別れても、バカな人」 幻冬舎文庫より2月10日発売予定!         著者・内藤みか

爆笑&絶賛発売中!
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離婚即、復縁!
たった3週間でヨリを戻した、
嵐のような、大離婚騒動期。

直感で速攻行動のあほんだら官能作家、
内藤みかの暴走に、
大爆笑して、そして、ちょっぴりホロリ。

離婚する前に。
離婚した後に。
そして
離婚なんて想像もつかないあなたに。

離婚という
(個人にとっては)壮大なドラマ!
ぜひお読みください!

なんと解説は、だめんずうぉ〜か〜の倉田真由美さんです。


2月10日、
幻冬舎文庫となって、
全国書店で発売!


                    内藤みか

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【目次】







【はじめに】

【プロローグ】

【第一章・あんたなんかいらない】

●離婚届
●私達は愛し合っていた……
●殴りだした彼
●姑という破壊者
●看病疲れ
●初めての電話
●秘密のデート
●離婚相談


【第二章・二度と顔も見たくない】

●誰も引き止めなかった
●バツイチマザーの家探し
●バツイチ男の家探し
●バツイチ女の引越
●最後のディズニーランド
●実父との対決
●男が来た部屋
●バツイチ女の貞操

【第三章・私、バカかもしれない】
●報告
●だんまりになった息子
●告白
●逃がした魚
●人生最大のUターン


【第四章・ただいま帰りました】
●不能の夫
●遠距離チャット
●旅する夫
●バツイチ男の引っ越し
●バツイチ女の男探し
●夫のデート
●クリスマスの奇跡

【第五章・もう終わりかもしれない】
●両親とひともめ
●会社でも一騒動
●再暴力
●夫の治療
●夫婦で治療
●またふたたび姑との対決
●カウンセリング被害


【第六章・結構いい経験したよね】
●再入籍
●果たして暴力はなくなったか
●離婚を知らないママ友達
●そして今。

【エピローグ】
【文庫版あとがき】
【解説・くらたまこと倉田真由美さん】


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<本のサワリをチラリとご紹介します☆>




〜別れても、バカな人〜

          内藤みか



【はじめに】


 これは、私こと官能作家内藤みかの離婚顛末記である。

 私は、女流官能小説を書き連ねている変態としてはプロな女であ
る。
 毎年六冊くらいずつ新刊本を出版していて、総出版点数は二十を
超える。

 スポーツ新聞に小説を連載したり、あちこちの小説誌に短編官能
小説を書いたりと、まあそれなりに自分でもよく頑張ってるな、と
思える。仕事に誇りを持ってやっているし、プロ根性もそこそこあ
るつもりだ。得意ワザは若妻もの。童貞の可愛い男の子にアレコレ
教えてあげるストーリーが大好きである。時には自分の体験も活か
して母乳を飛ばしちゃったりもするので、癒し系官能作家と呼ばれ
たりもする今日この頃だ。

 だが……主婦としてはアマアマであった。何しろ、結婚生活すら
まともに送ることが、できなかったのだから……。

 この本には、私のおハコである官能的表現などはほとんど出ては
こない。
 けれどもその代わり、一人の不出来な主婦が衝動的に離婚をして
しまったがために起きた情けなくも笑える話がそこここに展開され
ている。思い立ったらすぐ行動に起こしてしまう悪いクセがある女
が離婚に至るとこんな恥ずかしいエピソードの連発になるんですよ
〜と晒してしまっている。

 そもそもできちゃった結婚をしてしまったので、出だしからして
だらしがない。その後は姑にイビられ、親戚にも冷淡に扱われ、育
児にも自信が持てず、社宅ではママ友達もできず、夫からは殴られ、
しまいにはココロが壊れ、ノイローゼになり……と、私の結婚は、
果てしなく暗い出来事の連続だった。 

 そんな時、救世主のように現れた爽やかな男に私は一目惚れし、
夫のことなどもうどうでもよくなって、結婚四年目にして衝動的に
離婚届を出してしまった。そして社宅を飛び出し、意気揚々と母子
家庭として再出発するつもりだったのだが……。

 結局夫が恋しくなり、ひと月もたたないうちに社宅に舞い戻り、
無理矢理に復縁を迫るという暴挙に出たのである。迫られた夫は冗
談じゃないと逃げ回ったのだけれど……。

……もうこれ以上はこの前書きでは語るまい。あまりにも恥ずかし
い出来事続きだったので、私の胸の中に永遠に封印しておこうかと
も思っていたのだが、物書きのサガで、ついつい、書いてしまった。

 なぜ書いてしまったかというと、こんなおバカな離婚をしでかし
たのは私だけかと思っていたのだが、どうも近頃はそうでもないよ
うだからである。

 私の周囲でもしょうもないようなことをしでかし離婚話に至って
いる奥様が増えてきている。最早ネット不倫など、全然珍しくない。
私のところにくる主婦からのメールのほとんどに『私は今、恋愛し
ています。あ、私は結婚していて主婦なんですけど』と書かれても
いる。今、主婦の大暴走が始まっているのだ。

 人妻は長いこと恋をしていないので、恋愛に非常に脆い生き物だ。
そのため、ネットでちょっと優しくされただけですぐに舞い上がり、
夫や子供まで捨ててどこかに行ってしまう。そしてこの私だって、
危うくそうなったかもしれなかった。

 本当は誰にも内緒にしておきたいくらい情けない話のオンパレー
ドをここに書き綴る決意をしたのは、こうしたトホホな実例もある、
ということを晒さなくてはいけないという使命を感じたからである。

 よくTVなどで芸能人が離婚会見を開いている。

『彼のことはすっぱり忘れ、これからはひとりで強く生きていきます』

 みたいなことを、涙を含んだ瞳で凛々しく微笑みながら宣言して
いる。私達女が抱く離婚のビジュアルイメージは、これら女性タレ
ントの毅然とした態度だったりしやしないだろうか。そして多くの
女性が、私だってああやって独りで生きていってやるわ、と無謀な
離婚を試みて、全然うまく行かなくて藻掻いていやしないだろうか。

 そう、私は、
「テレビと違う〜、こんなにドロドロでダメダメだなんて聞いてな
い〜ッ!」
 と離婚してから悲鳴を上げたひとりである。

 実際の離婚というのは、こんなに簡単なことではない。そのあま
りの辛さに悲鳴をあげて、私のように夫の元にユーターンする軽は
ずみ妻も、かなりの数いるらしい。しかし、お分かりだとは思うが、
再婚に辿り着くということは、離婚するよりも、もっとずっと大変
なことだし、第一、ものすごく恥ずかしい。 芸能人の離婚手記は
きれいなことばかりしか書いてはいない。

 だからこそ私は、ぐっちゃぐちゃでハプニングの連続で大騒ぎば
かりしていた私のどうしようもない離婚話をどこかに書き、
「ここにこんなにバカがいます」
 と知らしめておく必要を感じたのだ。

 離婚なんて実際、全然カッコいいことではないのだから。
 ネット上の恋に燃え上がっているすべての奥さんに、この本を読
んでいただき、

「ヤダぁ、私は違うわ、こんなにおバカじゃないもの。でも……ひ
ょっとしたら……」

 とすこーしでいい。何かに気づいていただけたら……。すごく、
嬉しい。

 かなり多くのネット不倫妻は、夫と向き合うことがイヤで、他の
男性に逃げ道を探そうとしている。けれども、夫との関係はなぜ壊
れてしまったのか、それをよくよく見直さなければまた同じトラブ
ルを繰り返してしまう。すでにバツイチどころかバツニの女性も増
え始めている。無謀な離婚を起こす前に、この本を読み「こいつみ
たいなバカなことをしたくない」と思い直してくださる奥さんが出
てきたら、本望だ。

 そしてネット不倫妻じゃない方には、ただのアホ女の大立ち回り
記として爆笑しながら読んでいただきたい。しかし、爆笑しつつも、
この世にはどうやらこうしたしょうもない奥さんが増殖しつつある
のかもしれない、とふと感じていただけたら、幸いである。



【プロローグ】



 あの男のところに逃げよう。
 そう私が決意したのは、一九九八年十月の始めだった。私は結婚
四年目の秋を迎えていた。夫とは会って一年で入籍したので実際に
は二人の関係は五年目を迎えていたことになる。

 夫と知り合った当初、話題になっていた本『愛はなぜ終わるのか』
(ヘレンEフィッシャー・草思社)という本を読んだことがあった。
たった四年で私達は終わるわけない、一生添い遂げてやる、とその
時誓ったのに。実際に四年を経過した今、離婚で頭がいっぱいにな
っている自分に気づいた。やっぱりあの本はスゴイ、と私は感心し
ながら夜道を急いでいた。

 私と同じ二十七歳の夫と二歳の息子を家におき、本屋に行くと言
い残して私は家を出た。夜の十時だった。

 ここのところ毎日のように本屋に通っている妻を、彼はおかしい
とは思わなかったのだろうか。もう私の行動などに、関心もなかっ
たのかもしれない。私の行き先は、確かに本屋だった。駅前のコン
ビニエンスストアを兼ねている小さな書店スペースに毎日詣でてい
た。

 私は恋をしていた。相手は同じ駅に住む男だった。六月にあった
出版系の名刺交換会に行った時、ささッと私の前に現れ、名刺を渡
してくれた神野良明は、大手通信会社に第二新卒で四月に入社した
ばかりの男で、私より三つ若い二十五歳だった。出版とは全然関係
ない仕事をしているのだが、興味があったからというそれだけの理
由で彼は出版社勤務の友人と共にパーティー会場にいた。

 良明とは八月末にもこの本屋で遭遇していた。その時私は二歳の
息子と一緒だった。彼は何となく残念そうに、
「同じ駅なんだし今度一緒に飲みましょうよ」 とだけ言った。
 この時ほど、子持ちであることを悔やんだ瞬間はない。子供が一
緒にいさえしなければ、私は彼の誘いに乗ってお酒を飲みに行った
だろう。そして流されるままに彼に抱いてもらえたかもしれない。

 あの日以来、私はもう一度チャンスが欲しくて、毎日のように本
屋詣でを続けていた。偶然を装ってもう一度良明に会いたいがため
に、夫が家に帰ってきたら、ささっと息子を押しつけ、息抜きと称
して外に出ていった。そして小一時間、彼を探して狭い店内をうろ
うろしていた。手にした雑誌など全然頭に入らず入り口のドアが開
くたびにぎろぎろとそちらを注視していた私は、すごくおかしな客
だったかもしれない。そしてこんなに毎日のように通ったのに、う
まくタイミングが合わないのか、彼には全然会えなかった。

 良明は夫にないものをたくさん持ち合わせていた。さっぱりとし
ている明るい性格で、すべてに好奇心旺盛で、行動力もあり、友達
が大勢いた。何より水泳をしているという筋肉質の身体が逞しく、
広い肩幅と太い眉と大きな瞳と日焼けした肌がセクシーだった。
 毎日のように「これは燃えないゴミだろ?ちゃんと分別しろよ」
とゴミ箱を漁っては私を叱ってくる夫と対照的に彼は光り輝く世界
にいる気がした。そして彼と恋愛すれば、私も同じ光を浴びれるよ
うな気がしていた。

 友達も数えるほどしかおらず、週末といえばゴロゴロ寝てTVゲ
ームをしているだけの覇気のない夫、何にも興味を示さず子供と遊
んであげたりもしないネクラでオタクな夫。こんな男と一緒にいた
ら、私自身朽ちていくばかりだと感じていた。私は、私を連れだし
てくれる存在を待っていた。それが、良明だと強く思い込んでいた。

彼とはもう一ヶ月以上会っていなかったが、良明のことを想うとド
キドキしてどうしようもなかった。私の本当の人生は彼と共にある、
と信じたかった。 もらった名刺は彼の自宅の番号のもので、携帯
電話のナンバーもプリントされてある。毎日お守りのようにお財布
に入れて持ち歩いていたそれを握りしめ、私は電話ボックスの中に
入った。

 テレフォンカードを差し込もうとしたが、手が震えて落としてし
まった。拾い上げようとして、臑に目が行った。五百円玉大の青い
痣が数個、痛そうに剥き出しになっている。昨夜キッチンの隅で、
夫に何度も蹴られたことを思い出した。皿洗い用のスポンジを、彼
に無断で新品に変えたことに腹を立てられてしまったのだ。前と同
じスコッチブライトを買ってきたのに、

「新品だと固くて使いづらいんだよッ!」

 と彼は怒鳴った。
「どうして怒るの。新しいものに代えてあげたのに」
 私は泣いた。黒くなってくたびれていたから、善意で交換しただ
けだったのに、なぜ罵倒されているのか、わからなかった。

「押しつけがましいことすんなッ!」

 彼は何度も何度も蹴った。皿洗いという彼の仕事に彼は誇りを持
っていた。だから私は聖域を侵した盗人のように打ち据えられた。
彼は逃げようと一歩退こうとするとその足を狙って蹴ってきた。
 惨めな記憶が蘇ってきて私の心を曇らせる。 けれど、こんな辛
い思いは、もうすぐ、終わりを迎えるはずなのだ。

 私はカードを差し込み、良明の携帯ナンバーをダイヤルした。今
夜こそは、彼に、
「会いたいの」
 と告げるつもりだった。
 そして私の結婚生活の苦しさを全部、打ち明けるつもりでいた。
良明と人生をやり直すために……。

 
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