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<ラブリンク>
内藤みか
第4話
翌日は金曜日だった
こともあって、新宿の
街はひどく混んでいた。
亮太からは先程、メ
ールが届いた。
『ごめんちゃい! 寝
坊しちゃって、三十分
ほど遅れます〜』
いつものことだった。
約束の時間に彼が来た
ためしがない。遅刻魔
なのだ。先週は三時間
も遅れてきた。
アルタの五階はレス
トランフロアで、窓際
にベンチが幾つか並ん
でいる。誰でも座って
いい休憩スポットだっ
た。私は亮太を待つ時
はしばしばここにいる。
そして携帯をいじっ
たり眼下に行き交う人
々を眺めたりして暇を
潰す。あまりに遅いと、
どっちが客なんだろう、
と腹がたつ。でも彼が
現れると、怒りはすぐ
に消えて、笑顔になれ
る。一緒に過ごす時間
が楽しいので、今のと
ころ他のホストに指名
変えする気にならない。
携帯電話のデータを
眺めた。不思議な感じ
だった。「あ」で検索
すると、二人の名前が
並んでいる。
安藤浩介
安藤亮太
彼らはそのことを知
らない。
自分「たち」の名前
が並んでいることを…
…。
浩介は、取材の日に、
自ら携帯番号を伝えて
きた。記事のチェック
をさせてもらいたいか
ら、ゲラが出たら、編
集部に見に行っていい
か、ということだった。
「チームの広報あてに
バイク便を出しましょ
うか」
と言ったのだけれど、
「広報は、毎日いろん
な郵便物が来ていて、
僕の記事を見つけるだ
けで一苦労だと思うん
で……」
と首を横に振った。
決してチームの中で
も居心地のいい位置に
いない彼は、きっと広
報を煩わせるのにも遠
慮してしまうのだろう。
だから私は、
「いいわ、じゃあゲラ
が出たらご連絡します」
と、彼の携帯番号を
控えた。
「お願いします」
礼儀正しく彼は頭を
下げた。
「でも今日のお料理、
本当に美味しかったわ。
特に春雨スープはとろ
みもついててすごく良
かった。お母さんから
教わったの?」
「いえ、アニキなんで
す」
私の表情が一瞬固ま
った。
「僕のアニキ、料理が
すごい上手なんですよ」
「へえ、じゃあ今はシ
ェフか何かをされてる
の?」
わざととぼけて尋ね
てみる。
「いえ、そっち方面の
仕事はしてないです。
バイトでレストランの
調理とかしていたこと
はありますけど、すぐ
やめちゃいましたね」
一瞬、複雑そうな顔
を、浩介はしてみせた。
やりきれなそうな、淋
しそうな、そんな顔。
私は彼がなぜその表情
をするのかを、理解で
きるような気がした
「アイツは僕より一つ
上なんですけど、いつ
までも落ち着かなくて、
まだフリーターしてま
す」
彼は、口ごもりなが
らこう続けた。
「最近は朝帰りしたり
何日も家に帰ってこな
かったりするんで、ち
ょっと心配してるんで
すよね」
(第5話に続く)
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