世界初!? 貯金箱が小説になった!
「イケメンバンク」 Sweet life with my darling
          (内藤みか著・角川学芸出版刊・定価1260円/税込)
  5人のイケメンに貢ぐ! 愛とオカネの物語ッ!
巻末には、映画「イケメンバンク」主演の柳浩太郎さんとのトークも収録☆

第1話を、下の方で公開中です(≧∇≦)!
 
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 イケメンバンク/目次

<目次>

・謎のイケメンバンク
・美男子に投資
・同棲してるみたい
・メロメロになっちゃうよ
・お金だけじゃないでしょ
・もう、ガマンできないよ
・VIPルームで
・俺に恵んでくれへん?
・1時間だけこのまま……
・1億円のプロポーズ!?
・今夜は俺のおごり☆
・買ってあげる!
・いってらっしゃいませ
・別れてください
・ホストデビュー
・終わりにしようか
・今度はいつ会えるかな
・キミのために
・いつか終わっちゃう
・逢えなくなるよ……
・泣いてたね
・初めてだね!
・僕が払うよ
・もうおしまいだよ
・普通の男として

<巻末>「イケメンバンク」刊行記念鼎談
  柳浩太郎さん&寺内康太郎さん

<内藤みかプロフィール>
1971年生まれ、著書70冊以上 最近はモバイルサイト中心に執筆中
メインブログはこちら。
ケータイサイト http://micamica.net


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第1話公開中!


「イケメンバンク」

<第1話>『謎のイケメンバンク』

 今日は変な一日で、私は美男子に貢いでばかりいる。

 まず、朝、自分の部屋を開けた瞬間から、妙だった。

 だって、スラっとして高身長で、赤茶色の髪の超美男子がなぜか私の部屋のドアの前に立っ
ていて、真剣な表情で、私にお金をせがんできたのだから。

「あのッ……、見知らぬ人にこんなことをお願いするのは申し訳ないんですが、僕に五千円を
貸してもらえませんか! タクシー代なんです! これからオーディションなんです。
間に合わないと大変なんで!」

 オーディションと言われた瞬間、彼が誰だかわかった。金内隼人だ。
今、人気出始めの若手男性モデル。
ファッション雑誌で時々見かけるから、顔を覚えている。

 でもなんで有名人が私の部屋の前にいるの!?

「えっ、と……」

 あまりに突然のことだったけれど、あまりに彼が素敵だったから、
まるで催眠術にかかったかのように、私は一枚の樋口一葉を取り出した。

「ありがとう! 必ず返すから! 僕、イケメンバンクを作るつもりはないんで!」

 その時、表通りにオレンジ色のタクシーが現れ、彼は、走ってそれに乗り込んでしまった。

「あっ……、ちょっ……!」

 まだ、彼の連絡先も聞いていないのに……。
 ホントに返してくれる気、あるのかな。
 その時初めて『イケメンバンク』という単語を聞いて、
それは何? と思ったけれど、よくわからなかった。

 で、通りに出たら今度は、
「危ないッ!」
 という鋭い声がしたと同時に、誰か背の高い人とぶつかって、私は歩道に転がった。
彼もバッグを地面に落としてしまった。

 メガネをかけた、見るからにイタリアブランドっぽい綺麗なラインの
高そうなスーツを着たビジネスマンが私をニラんでいる。
ぶつかったのが原因でなければ思わず見ほれてしまいそうな、
理知的な、世界中の経済をすべて知り尽くしてしているかのような、クールな眼差しだった。

「気をつけたまえ!」

 男の人は私を叱り飛ばして走り去り、
そしてすぐに引き返して茶革のビジネスバッグを突きつけてきた。

「なんだこれ、落とした衝撃で、ファスナートップが取れかけてるじゃないか!」

 と修理代千円を要求してきた。
確かに金色のファスナートップがとれそうになっていたから、断れなかった。

「す、すみませんでした……ッ」

 私はひたすらあやまりながら、彼に1枚の野口英世を手渡した。

 ああ、またお金が消えていく……ッ。

「なんだその惜しそうな顔は。
千円ごときで渋面してるんじゃ、イケメンバンクにもなれないぞ」

 ここでも例の単語……。
 イケメンバンク「になる」ってどういうことなんだろう?

 さらに今度は、家に帰る途中……。
「やあ」
 と駅前広場で声をかけられた。

 幼なじみの瞬が、浮かない顔をしている。
彼は銭鳥財閥のお坊ちゃんとして裕福に暮らしていたのに、今、破産寸前の大ピンチで、
家に大勢の債権者などがやってきて混乱しているのだとか。

 長めの茶色い髪、バイオリンが似合う貴公子としかいいようのないルックスの瞬は、
こんなに苦労したのは初めてなのだろう、心配そうに顔を曇らせている。

「ねえ、今日、お部屋に泊めてくれないかな?」
「……えッ!?」
「てのは冗談で、ウィークリーホテルというのに泊まろうと思ってるんだ。
キッチンもついてて便利らしいからね。それで……」
「わかった、お金でしょ?」
「ごめん。突然のことで持ち合わせが少なくて……、貸してもらえるかな?
 いつもはカードなんだけど、カードは今、使えないんだ」
「だいじょうぶだよ」

 私はヤケになってお財布に残っていた最後の福沢諭吉を渡した。
これでお財布の中は、小銭だけ……。

 瞬はありがたそうにそれを受け取りながら、
「なんか僕のイケメンバンクみたいだね」
 と言った。それなに? と問いただしたかったのに、
彼はタクシーに乗り込み去っていった。

 お家がピンチなんだったら、車使わず、歩きなさいよ!
   と後ろから叫んだけど、聞こえなかったようだ。

 もう……、今日はなんて一日だろう……。

 我ながら情けなくなって、私は駅前広場のベンチにひとりでへたり込んだ。
すると隣に男の人が座った。ちらっと顔を見ると、
伸ばしかけのボサ髪の向こうの太い眉と押しの強そうな大きな瞳とが、明らかに僕は美男子です、
と主張していて、私は身を固くした。

「あのな……」
「あの、私、お金なら、ありませんから」
 きっぱり断わろうとすると、
「すごいな、まだ何も話してへんうちからわかるんか。あんたエスパーか?」
 彼は苦笑しながらも事情を打ち明けてきた。

「相方の部屋に戻りたいんやけど、財布落としちゃったらしくてな……」
「相方……!? ってことは、あなたって、もしやお笑い系!?」
「せや! 芸人や。タマゴやけどな!」
「私……小銭しかないんですけど」
「電車賃やから、それで充分や」

 この彼だってウソをついているのかもしれないけど、もうどうでもよかった。

「も〜ッ、今日はなんで男の人に貢いでばっか……」

 500円玉を渡しながら、思わずグチってしまった。
このお金を渡したら、私の残金、53円になっちゃって、相当気分が沈んでいく。

「女は男を育ててなんぼやで。先行投資、先行投資。
『イケメンバンク』もでっかい満期が待っとるやろ?」

「またその言葉! ねえ、イケメンバンクって、なに!?」
「アッ、こんな時間や、いかなならん」
 芸人のタマゴさんは慌てて立ち上がり、行ってしまった……。

 結局、ことの真相は、ジョギング中のさわやかな美男子が教えてくれた。
私は彼のタオルを持っていたシャープペンシルに引っかけ、ほつれさせてしまったのだ。

「うわッ、おッ……俺の優勝タオルッ!」

 真っ赤なランニング姿の彼が首に巻いていたタオルは、糸がほつれて、
あっというまにヨレヨレになってしまった。
普通のブランドタオルのようだけれど、彼は優勝タオル、と言った。
そのタオルをすると陸上の大会で優勝できる縁起物なんだとか。

「そんな大切なものを……、ごめんなさい! 弁償します!」

 タオルの料金は二千円。今はないから彼の口座番号を教えてもらって振り込むことにした。
動き回るたびにどんどん出費がかさんでいって、もう、泣きそうだった。

「わあ、かえってこちらこそすみません。すごく気前のいいかたですね。
僕の『イケメンバンク』になってもらいたいくらいですよ!」

「ねえ……教えてほしいんだけど、イケメンバンク、って何?」
「えっ……、『イケメンバンク』を知らないんですか?」

 驚いて、私の顔をまじまじと見た彼の、額の汗が、きらりと輝いた。
・・・・・・・・この続きが気になるかたは、書籍をぜひ読んでみてくださいね!




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冒頭部分の立ち読みは、こちら。


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